2005年10月15日更新


1..ある日、突然、真っ赤なおしっこが出たらどうするか?

1996年8月11日(日)早朝、6時頃だったと思います。
いつものようにトイレに立って小用をしたところ、真っ赤な血が尿の代わりに出た感じでした。
色は、最初は真っ赤でびっくりしておしっこを止め、恐る恐る再度、排尿をすると今度は、ワイン色から黒っぽく変わっていました。ゼリー状の血の固まりも出てきました。
その時、私の内臓がどうにかなってしまったのかと思いましたが、小用を済ませ、取り合えず家族にも言わず、日曜日でもあるので、通常の風邪の様に、床の中で安静にしていれば直ると思い午前中は、床の中で寝ていました。
体調もいいのでお昼前に起き上がり、小用に行きましたが血尿が止まりません。救急車で病院に行かなければならないのかなと思いました。
今度ばかりは、妻に血尿の状況を見せましたが、どう対処してよいか内心は、非常に不安でした。
血尿以外に身体に不調がないために、翌日、人間ドックでお世話になっている診療所に相談することに決めましたが一晩中不安でした。
翌日、まず、会社に行き、早速、診療所に電話を架け、状況を説明し診療の予約をしました。
午後、診療所の担当医に相談しましたところ、すぐに該当の泌尿器科を紹介して頂き、精密検査を受ける様にアドバイスをされました。
「教訓」:
実際は、一年前よりその兆候があり、人間ドックでの定期検診の結果、尿検査の潜血反応で異常(3+)が発見され、精密検査を受ける様に指摘されていました。
しかしながら、その時は、精密検査を拒否し、尿検査にて細胞レベルまで検査することになり、結果は、異常なしだったのですが、先生から、潜血反応3+は、いずれにしても何らかの異常である等、いろいろな病気の状況を説明され、3ヶ月毎に検査を行い様子を見る様にとアドバイスされていました。
いまから考えると、先生の指示どおりに精密検査を受け、早めに対処すべきだったと思っています。

2.癌の宣告を受けたらどのように対処するか?

泌尿器科を訪問し、事前に受けた人間ドックの結果を持って、担当医の先生に状況を説明したところ、「潜血反応3+」に注目し、すぐに血液検査と造影剤を注射され、レントゲン撮影を行った結果、「右尿管腫瘍」と判定され、即入院、手術をする必要があると宣告されました。
出血は、腫瘍から尿管の粘膜を刺激しているために、薬等で止めることができないので、入院まで、そのままにしておきなさいと言われ、血尿を止める手立てはしませんでした。
原因が判った為に、多少は、気持ちが落ちつきましたが、入院ということがこれからどうなるのか判断ができませんでした。
担当医の先生からは、ガンの疑いありと宣告されましたが、私自身、何故か特に動揺することなく「どうしたらよろしいのでしょうか」と質問したところ、「すべて私に任せなさい。100%治せます。」と言われ、安心したというか覚悟を決めたという感じでした。
入院および手術の話しがとんとん拍子で進み、動揺している暇がないというような状況でした。
「教訓」:
「インフォームド・コンセント」(病気の症状の告知)をキチンと受けることにより入院および手術の心構えができ、また、家族への協力を得られるために、正しく現在の病状をキチンと把握し、精神的にも強くなることにより、病気を克服することが、一番の対処療法と考えます。

3.入院は、個室か大部屋か?

これまで、ビジネスマンとして出張が多く、当然、一人部屋を予約していたために、大部屋での団体生活は考えられず、病院でも個室を予約しました。
入院当日、朝、病院より電話が入り、個室が空いた旨の連絡があったが、すぐに、取り消され、予約待ちとなり、少々この決定は不満でした。
後ほど判ったことですが、個室に入ると気持ちが滅入ってしまい体調に悪影響を及ぼしてしまうと思いました。幸いにも入院中、良い患者仲間にめぐり会えたと思っています。
「教訓」:
病気の種類にもよりますが、外科系で、手術後、回復がある程度わかる場合は、大部屋に入院することをお勧めします。特に初めての入院を経験する方は、大部屋に入院中の先輩患者からいろいろ情報が入りますので、多少の不安を取り除くことができます。
特に、個室の場合は、夜が明けるのが非常に長く感じられ、話し相手がいないこともあり、ますます不安を煽ることになります。大部屋では、周囲に同じ境遇の患者がいるだけでも安心して夜を乗り越えることができます。
また、患者間での互助の精神も生まれます。

4.初めての手術に立ち向かう心得は?

私自身、この病気が発見されるまで、医者要らずで、病院とは、何の縁もありませんでした。
そういう意味で、やはり「手術」という言葉は、恐ろしいものです。
大部屋での先輩患者からの情報や主治医、看護師の意見をよく聞き、納得のいくまで質問をすることです。
正しい情報を得ることで、不安が取り除かれ、手術への心構えができてくるものです。
私の場合、即入院ということもあり、まずは、精密検査(MRI、腹部エコー)を行い、さらに腫瘍の状況を確認するために、カテーテルによる尿管細胞検査が行われました。
その結果「右尿管腫瘍による右腎臓および右尿管の全摘出手術」を行う旨を説明されました。
手術の当日まで、入院から21日を要したため、病院生活の環境も慣れ、患者仲間との交流もできてきたために、不安なく手術に臨むことができました。
「教訓」:
「手術」は、恐ろしいものという先入観を取り除くために、患者の体験談を聞くことも不安を取り除くことができます。

5.手術後のリハビリは、どのように行うか?

外科手術、特に開腹手術は、腸閉塞等の合併症を起こす可能性があるようです。
したがって、術後3日で、歩くよう勧められます。
この時は、腹帯をし、傷口が癒えていないのに、本当に大丈夫かと疑いたくなりますが、担当医および看護師の指示どおり、少しづつ身体を動かすことにより、回復が早くなってきます。
活動の許可が下りたならば、ベットに横たわっておらずに、まずは、病院の廊下を一歩一歩、歩き始め、病院内の行動範囲を広げていきます。
屋上へ出られるような病院であれば、外の空気を吸うことも体調を整えるのに役に立ちます。

6.長い入院生活での対処方法は?

手術を伴う入院は、少なくとも1ヶ月以上の入院生活を覚悟しなければなりません。
通常の社会生活と異なり非常に時間がゆっくり進むと感じるようになります。
何もしないでベットに横たわっていると、時計の針がとにかく進むのが遅く感じます。また、夜に熟睡できなくなります。
病院の指定する日課をベースに、毎日の行動を組み立てると一日が有効に過ごせます。
「起床=>朝食=>回診=>昼食=>面会=>夕食=>就寝」
この決まったサイクルを節目として、間に、運動・読書・趣味のこと(私は、ノートPCを持ちこみ仕事もしてしまいました)をうまく組み入れると、通常の社会生活より規則正しい生活が送る事ができます。

7.抗癌剤投与の状況は?

今回の手術は、右腎臓と右尿管の全摘出手術でしたが、いずれは、膀胱への転移の恐れがあるために、化学療法の対象になりました。使用する抗がん剤は、1種類ではなく、通常2種類以上とのことです。点滴による抗癌剤の投与は、副作用として、吐き気、食欲不振、白血球減少、血小板減少、貧血、口内炎などがおきることがあると聞いていました。
右腎臓および右尿管の全摘出手術後、19日後に、体力が回復したことにより、点滴による抗癌剤の投与を行うことになりました。一旦、外泊が許され、理髪店へ行き、髪を短く切ってもらうことにしました。
化学療法による治療が始まると、吐き気防止用の注射もされたが、食欲がトタンに落ち、吐き気を模様すようになった。また、朝起きると、枕元には、抜け毛で一杯であった。肝機能回復注射も行われた。
白血球の数の復活を待って、2回目の抗癌剤投与を行った。
抗癌剤の投与により肝機能が低下しているために、退院後も1週間程度の安静が必要といわれた。
また、経口剤による抗癌剤の投与を引き続き行うことも宣告された。

8.退院後のリハビリは?

入退院の繰り返しで、気が付いたことがあります。
1週間の入院で、比較的に病院内を自由に行動し、毎日、屋上へ上がり、外の空気を吸っていても、退院して家に帰ってみると、社会の時間の流れと病院とは、まるっきり世界が違うことがわかりました。
とにかく、街にでてみると、人の流れについていけないのです。
益して、1ヶ月以上の入院となると、その現象が顕著に現れます。
最初の入院で約3ヶ月間を病院で過ごした後、退院したその日に街のラーメンが食べたくなり、妻と街へでました。
まず、妻の歩調に合わせなくなり、兎に角、ゆっくりゆっくりと歩いていました。また、外の空気がめまぐるしく変わるような感じがして、頭がくらくらするようでした。
少しづつ散歩の時間を長くとり、街の空気に慣れる様にします。
退院後、四日が経過し、朝夕のラッシュ時間を避けて東京まで電車に乗ることにしました。車窓から見る景色を追いかけることができませんでしたが、これも徐々に慣れてくるものだと思いました。
体調もよければ、無理をせずに少しづつ行動範囲を広げていくと、健康時の状態へ戻っていくと感じました。

9.通院での癌治療時の心構えは?

まずは、経口薬による抗癌剤の投与を1年間続け、膀胱がんの疑いありとのことで、主治医の指示にしたがって定期的に外来に通院し、膀胱鏡や尿の細胞診でチェックしてもらっていました。
退院後、2年が経過した定期検査で、膀胱内に擬似癌の疑いがありとの診断で、第1回目の「経尿道的膀胱腫瘍切除術」の後、膀胱内に抗がん剤を注入することになりました。この治療は外来で行うことができ、二週に一度の注入を行います。膀胱内への抗がん剤注入の副作用は、あまり感じられなかった。
さらに半年後の第2回目の「経尿道的膀胱腫瘍切除術」の結果、抗がん剤の効果が無いために、膀胱内にBCGを注入することになった。この治療も外来で行うことができ、二週に一度の注入を行ったが、副作用がひどく2〜3日、頻尿と膀胱を収縮するような辛さが続いた。
最初の入院から6年が経過して、結果的に膀胱摘出の手術を行うことになったが、常に、主治医とのコミュニケーションを欠かさず、定期検査を通じて適切な治療および処置をしていけば、通常の社会生活を営みながら、泌尿器系のみの病気を観察し、健康を維持してことができました。

10.膀胱摘出の宣告を受けたら?

2001年7月24日、第5回目の「経尿道的膀胱腫瘍切除術」および入院検査結果、高い値のガン細胞が検出され、これ以上膀胱の温存は難しく、膀胱・前立腺・尿道内部をすべて摘出する手術と代用膀胱造設手術を行うことを宣告された。
ここからが悩み・不安の始まりで、手術の決心がなかなか着かなかった。
そんな矢先、2001年7月下旬の朝日新聞の記事だったと思う。「ともに歩む(人工肛門)」の話しと日本オストミー協会の紹介が掲載されていた。
早速、日本オストミー協会へ連絡したら、最寄の支部(神奈川支部)を紹介され、支部長へ電話をしたところ、親身に相談に乗ってくれ、スト−マ関連の資料等を送ってもらった。
また、主治医と納得いくまで話し合い、ストーマ外来の看護師を紹介され、術後の状況・ストーマ装具の情報さらに退院後の社会生活の方法等の情報を仕入れることにより、手術への心構えが少しづつできるようになった。
しかしながら、まだまだ不安が残っていたために、漢方薬局の薬剤師の先生やその奥様にも相談をし、ガン細胞の除去が最優先と納得し、その年の10月に手術の承諾をした。
「教訓」:
1996年9月に右尿管腫瘍により右腎臓・右尿管の全摘出手術を受け、退院後、ガン細胞の確認を受けるために、抗癌剤投与や膀胱内視鏡検査、さらには、膀胱内へ抗癌剤・BCGの投与等、5年間検査を続け、治療のために辛い思いをしてきた。これは、膀胱を温存したいとの思いが続いていたが、やはり、適切なまた納得いく情報を得ることで、早期の治療・膀胱摘出手術で健康体へ戻れることが今となって理解できるようになった。
同じ環境にある患者の方々は、このホームページの情報を活用して早期の決断することに役に立っていただけることを期待しております。


11.膀胱摘出手術および通称人工膀胱の造設手術後の入院期間は?

膀胱がなくなる?人工膀胱になったらリハビリにどのくらい時間がかかるだろうか、社会復帰できるようになるか心配になります。
膀胱摘出・回腸導管によるストーマの造設手術後の入院は、3週間から4週間のようです。
泌尿器系(尿管皮膚瘻)のみの場合は、比較的早いようですが、回腸導管によるストーマの造設手術の場合は、消化器系の小腸を切断するために、当分食事ができなくなります。
私の場合は、術後小腸がうまく活動せず、少し時間がかかってしまいました。

12.ストーマ保持者になったら?

退院するまで、ストーマケアに関する情報を担当の看護師やストーマ外来の看護師から得て、疑問点を相談することが重要です。入浴の方法等の日常生活、皮膚の痒みの解消方法等、退院したら、看護師を頼ることができません。
家族の方々もストーマの状況を把握するまで時間がかかります。自分自身で対処できる方法を確立しなければなりません。
入院中のアルケア社の小冊子「こんにちはわたしたちのストーマ ストーマケアガイド ウロストミー」が大変役に立ちました.
退院後、日本オストミー協会の会員となり、多くの情報を得ることが重要であり、積極的に社会復帰するための努力をすることです。
また、膀胱を摘出した場合には、転移が出現していないかなど定期的なチェックももちろんのこと、回腸導管や、腸管でつくられた新膀胱がきちんと機能しているか、腎障害が出てきていないかなどのチェックも必要になってきますので、主治医およびストーマ外来の看護師とのコミュニケーションを図るために定期通院をお勧めします。
このホームページで、社会復帰の一助となることを期待しております。


13.ウロストミーのメリット

ウロストミー(人工膀胱保有者)になって、良くなったことがあります。
人工膀胱を造設して、メゲテいるばかりではありません。生活上で、良くなることも発見できるのです。

1)夜、トイレに起きなくてもすみます。
夜間用蓄尿袋を接続することにより、おしっこは、寝ている間に、自然に蓄尿袋に溜まっていきます。
一旦、眠りにつくと朝まで、目がさめることなくグッスリと眠ることができます。
夜間用蓄尿袋は、一般的に2リットルまで溜めることができますので、寝る前に、水分を十分に補給して眠りに付いても問題ありません。
最近、就寝中の水分不足で、生活習慣病を引き起こすと言われていますのが、ウロストミーになったお陰で、水分を十分にとり就寝して健康も維持できるのです。
2)尿の健康チェックがいつでもできる。
「尿でわかる健康チェック」を参照ください。
水分不足や健康上の理由によって、尿の色が変化します。
排尿するたびにパウチ(袋)内の尿の色をチェックしましょう。水分を補給するだけでも、尿は健康な「透き通っていて、麦わらのような淡黄色」に変わります。
3)介護者の負担が軽減します。
私は、まだ、介護される状況ではないので、実感が湧いてきませんが、この国では、人生100年と言われて老齢社会になってきています。
元気で健康に歳を取っていきたいものです。しかしながら、いつ何時、介護される状況になることがあるかもしれません。
下の世話は、第三者にしてほしくないと・・・・・医療関係者の体験がら報告があります。特に失禁でのオムツの取り替えは重労働にようです。
ウロストミーは、失禁の心配はありません。大便の処理はどうしようかとの心配はありますが、せいぜい1日1回程度であれば、厄介にになってもいいでしょう。

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